たとえ私が

詩と曲 秋山 和範

今はもうシベリアの大地を支える
土となっているかもしれないあなた
私は今 時の流れをとびこして
あなたの澄んだ瞳を見つめている

赤紙が 悪魔の紙切れ一枚が
私たちの幸せ 奪ってしまった
何の容赦もなく 「死」を宣告するのだ
日ノ丸のために 桜になれというのだ

本と野球が好きだったあなた
私も知らず好きになってしまった
帰らぬ人を待つ悲しみの深さが
二人分の生きる力になったのだろう

人間が人間らしく生きることを
頭から否定された時代の中で
あなたは今 人間であることを忘れず
私を愛し 私も愛していた

私は命の限り 叫び続けたい
あなたをかえして欲しい この私に
たとえ私が 骨になったとしても
あなたを 連れ戻したい この祖国に