オウガ3の印象



 タクティクス・オウガというゲームがとても好きでした。民族紛争を表看板にした権力者どもの醜い争いを背景に、たたかいながら自分のありかたを見つめていく主人公がとても気に入っていました。ちょうどこの頃、民族紛争という名の権力争いが、ユーゴスラビアなどで激しく戦われているさなかの、それはメッセージあふれるゲームでした。
これにはまったあと、シリーズの「伝説のオウガバトル」もやってみたのですが、操作性のあまりの違いに挫折しました。まあ、「伝説」の方が古いゲームなので、しょうがないかなぁ、と思ったものです。
 それで、最近雑誌でオウガ3の記事を読んだのですが、どうもゲームのスタイルが「タクティクス」よりも「伝説」の方に近いように感じました(あくまで印象のみですが)。
このことに関連してどうしても思い出してしまうことがあります。スクウェアによる引き抜き事件のことです。「タクティクス・オウガ」の開発チームを丸ごと引き抜いて「ファイナルファンタジー・タクティクス(FFT)」を作らせた、という例の事件です。結果、FFTは「タクティクス・オウガ」に酷似したものとなってしまいました。ゲームファンの間で、激しい議論となったものです。
 この点でもしこの事件がなかったら、オウガ3はどのようなゲームになったか、と考えてみると、「タクティクス・オウガ」にもう少し近いゲームになったんじゃないかなーと思うわけです。
勘繰りすぎかもしれませんけど、ここらに事件の爪痕を感じてしまうのは、決して私一人ではないでしょう。 たしかにFFTはなかなか面白いゲームでした。でも「タクティクス・オウガ」ほどの深みはなかったと思います。結果、より面白いゲームを 産み出す可能性をつぶしたのはまぎれもない事実です。
もちろん、ゲームなどにそんな深みを求める方が間違っている、という考え方もあるでしょう。けれども私はやはり少しはそういうものがほしいわけで、この点でスクウェアのやりかたは鼻白むものです。